JRグループによる「青春18きっぷ」規則変更を受け、過去の解説記事を非公開としました。

JR東日本合理化対象路線大予想(筆者本人による転載)

この記事は私ミシンロボ本人がajrnewsで書いた記事をそのままそっくり転載した記事です。内容はほぼ変わりありません。

ajrnewsの記事「東日本地方路線大改革!」で合理化されそうな路線はいくつか心当たりがあると書きましたが、今回の記事はその路線たちを東日本のエリアごとに分けて選ご紹介します。

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合理化の内容についておさらい

ご紹介する前にJR東日本の合理化(スリム化)について軽くおさらいしましょう。

今まで駅や車両などの人員と信号設備、または保線車両・機械に対して合理化を徹底してきた同社ですが、新型コロナウイルスの影響による旅客の行動変容により、上記の案件もさることながら、今度は路線そのものについても合理化を行うことにしました。詳細は割愛しますが、主な内容としては以下の二項目になります。

  • 電車をハイブリッド車両に置き換えた上で、架線や変電設備などの撤去
  • 単線化等により、線路や信号設備などを撤去
JR東日本株主説明会資料より抜粋

これらの合理化の影響を受けそうな路線を、JR東日本の路線別収支報告書(2019年度まで)を参考に抽出してご紹介しますが、これらはあくまでも個人の勝手な予想なので必ずしも絶対ではないという事を考慮の上記事を読み進めてください。後これは余談ですが筆者はこれらすべての路線に乗車済みです。

有力候補路線(関東エリア・上越線も含む)

吾妻線(長野原草津口ー大前)

この路線は関東エリアの中で平均通過人員がワーストクラスなのでおそらく真っ先に合理化されてもおかしくないでしょう。定期特急列車が走っている長野原草津口(以下長草口と略す)まではまだしも、2014年を最後に特急が来なくなった長草口以西の区間はお世辞にも利用があるとは言えません。車両運用上仕方がないのですが、当該区間には高崎所属の211系が入線します。同形式の最低編成は短くても3両編成。人員だけで見ればあまりにも過剰すぎます。

実はこの特急草津も結構危ない

2両編成の107系がいた時代も空席が目立っていたことを考えれば同区間は一両編成のピストン運行でも十分なくらいですが、長草口には高崎方面への折り返しはできても反対方向へは折り返せません。211系が全て置き換えられるときに同線の特急以外の全ての便を新前橋止まりにしたうえで、電車並みのハイブリッド車両を導入し、長草口以西は非電化とするのではないか、というのが大方の予想です。既に殆どの区間が単線なので線路を剥がす必要はなさそうです。

信越本線(高崎ー横川)

今度は高崎駅に直接接続する信越本線です。いわゆる碓氷峠区間が廃止されてから関東の一盲腸線として輸送を担っている同路線は、ぶっちゃけ上記の吾妻線ほど収支はひどくありません。特急列車こそ無けれど、休日になると横川にある碓氷峠鉄道文化村へむかう行楽客でにぎわい、そしてそれらをターゲットにしたSL/EL/DL列車がほぼ毎年運転されていますし、途中の安中までですが、福島から一日一往復だけ東邦亜鉛専用貨物が運行されています。

じゃあ引っぺがした線路と架線使って碓氷峠復活させるか?

しかし貨物・臨時列車が走っているとはいえ毎時一本レベルで全線複線というのは少々持て余し気味ではないでしょうか。関西本線じゃあるまいし、碓氷峠と特急あさま亡き今密度もないのに複線を維持する理由は特にないはずです。ですが利用は安定しているため、電化状態は維持のまま、単線化するという線が濃厚でしょう。

上越線(水上ー越後湯沢間)

信越本線亡き今関東と新潟を直接結ぶ唯一の幹線、上越線も合理化の可能性を否定できません。特に危ないのは水上から越後湯沢までの、いわゆる上越国境と呼ばれる県境をまたぐ区間です。臨時列車を入れても日に10本も満たない同区間は普通列車よりも貨物列車のほうが本数が多いという長閑散路線です。もともとこの区間は上越線開業当時は単線でしたが、下り線の新清水トンネル開業によって完全複線化を達成した過去があります。

同区間の車両は新しいのでしばらく置き換えはなさそうだ

当時は特急を含めた長距離列車が日に数十本も走る密度の高い路線でしたが、臨時夜行快速の運転終了を最後に同区間を走る長距離列車は貨物列車のみとなり、普通列車も日に5本程度しかなく閑散としています。なので、開業当時から存在する現在の上り線を廃止し、勾配が緩く建設時期も比較的新しい新清水トンネルを含んだ現在の下り線を残して単線化、というのが筆者の予想です。できればこの予想は外れてほしいのですが…

なお越後湯沢から分岐するガーラ湯沢支線のほうが収支的にはかなり低いのですが、同路線は実質上越新幹線の支線であること、同路線がほぼ冬季限定の営業であるという特殊性から除外しました。

有力候補路線(甲信越エリア)

弥彦線

新潟駅に接続こそせずとも三条と吉田とそこそこの都市間を結ぶ同路線ですが、新潟の電化路線ではワーストクラスの通過人員で、特に吉田以北の盲腸線区間が新潟県内最下位の数値です。この路線は国鉄の末期も末期、民営化を3年後に控えた1984年に吉田駅で接続する越後線と共に電化されました。

吉田駅だよ!全形式集合!

東三条から吉田までの区間は上越新幹線と燕三条で接続していることもあっておそらく現状維持で推移するでしょうが、吉田から弥彦までの区間は正直どうなるかわかりません。距離が短いこともあり、わざわざこの区間の為にハイブリッド車入れるくらいならいっそのこと廃止してバス転換に踏み切る可能性も決してあり得なくないのが怖い所です。

越後線(吉田以西)

さて弥彦線と吉田で接続する越後線も合理化と無関係…とはいかなさそうです。吉田駅までの区間は新潟近郊の通勤通学路線として大活躍しており、通過人員もほぼ幹線レベルで心配する必要は無さそうですが、問題は吉田からの区間です。電化はされているものの吉田以東と比べて通過人員の差が激しく、本数も必ず毎時一本あるわけではありません。もともと新潟から柏崎までの輸送は信越本線がメインルートで、事実信越本線のほうが早く着きます。

上の写真の115系メインVer

加えて弥彦線と共に国鉄時代の末期の末期に電化したこともあって一部区間の電化設備が他の路線と比べて少々ケチな構造となっており、システムも違うので信越本線レベルの高速運転や、万が一信越本線が運休になったときの一部列車迂回運転ができません。おそらく電化設備を撤去したうえでハイブリッド車両に置き換え、というのが最も有力だと思います。可能性は低いですが、もしかしたら弥彦線末端区間と共通で運用されるということも考えられます。

大糸線

松本から分岐する大糸線も容赦なく大ナタが振り下ろされることでしょう。この路線は中央アルプスやアルペンルートなどの著名観光地を沿線に抱えていることもあって新宿発の中央線定期特急あずさや名古屋駅発の特急しなのが臨時で何本か乗り入れる行楽要素の強い路線ですが、中央本線東西両方から直通する特急は利用者減の影響で年を追うごとに減便されていき、定期列車だけで見れば新宿直通のあずさが一往復乗り入れるのみとなっています。

西日本区間みたく必殺徐行25キロは流石にやらない・・・よね?

いずれ大糸線から特急列車が臨時を含め消滅するのは時間の問題です。ぶっちゃけ電化されているのはこの特急列車の為と言っても過言ではありません。その大義名分が無くなればすぐさま電化設備は撤去されて新型のハイブリッド車両が導入されるでしょう。事実既に臨時列車でハイブリッド車両の運用実績があるため置き換えには時間がかからないと思われます。もしハイブリッド車両に置き換えられた暁には、南小谷から先の西日本区間にも何本か直通してほしいものですが…

有力候補路線(東北エリア)

磐越西線(会津若松ー喜多方間)

東北本線と会津、そして新潟方面を結ぶ本州横断線こと磐越西線は福島県屈指のドル箱路線ですが、乗客のほとんどが同線の事実上の境界駅会津若松までしか乗車しません。それでも同駅を越えて利用する客もわずかながら存在しますが、それも喜多方まで。そこから新潟県の馬下駅までは乗客はほぼいないようなものです。それでも休日になると人気列車の一つSL磐越物語号などが運転されるあたり決して成績は悪くありません。ではどの区間が合理化対象になるのでしょうか?

画像の車両はもう来ないが、基本的に喜多方駅に来るのは気動車のみ。

磐越西線の電化区間は郡山から喜多方までの区間となっていますが、喜多方まで直通する電車は朝と夕方の一部便とと臨時列車のフルーティアくらいしかありません。会津若松から喜多方までの列車のほとんどが新津方面からやってくる気動車で、全て会津若松まで直通します。たった数本の電車の為に電化設備を維持するのは無駄もいい所です。本当に合理化される際は電化設備をスパッと撤去して名実ともに電化区間、非電化区間との境界を会津若松に設定して効率化が図られるでしょう。

仙山線(愛子ー羽前千歳間)

これまた東北のそこそこのドル箱の路線です。この路線、愛子までの区間は快速、普通を含めかなり利用があり通過人員も一万人を超えているためおそらく現状維持で推移するとみていますが、愛子以西の区間はちょっと「あやしい」です。(激寒ギャグ)

快速列車でバスとギリギリの接戦!

路線図上では羽前千歳で奥羽本線と接続して、山形駅まで直通している…ように見えますがこの区間の奥羽本線は山形新幹線が直通する為標準軌となっており、直接乗り入れることが出来ません。同駅から山形まで標準軌と狭軌の単線並列区間となっています。事実上の盲腸線です。この区間を仙山線以外に直通する列車と言えば北山形で合流する非電化の左沢線くらいで、これまた盲腸線です。実はこの左沢線と愛子以西の通過人員はほぼ同じレベルだとか。

さらに仙山線は民営化当初から並行する高速バスとかなり激しい接戦を強いられていますが、値段も速達性も利便性も、全て高速バスにギリギリ軍配が上がっています。路線としてはこのまま残るものの、おそらく愛子から先の区間は電化設備が撤去され、仙石東北ラインで走っているHB-E210とほぼ同形式のハイブリッド車両がこの区間のメイン車両になると思われます。ドアの数や走行機器、何なら座席配置に至るまで現在のメイン形式であるE721系とうり二つの為、急こう配の問題さえ解決すればあとは時間の問題でしょう。

でも顔と車体はE129がベース

奥羽本線(新庄ー大曲間)

さてその奥羽本線もかなり怪しい区間が一つ。新庄から狭軌になる奥羽本線ですが、秋田新幹線並行区間の始点大曲駅までの区間は奥羽本線一番の通過人員ワースト区間。なんでもかつて特急列車があったころからこのありさまだとか。時間帯によっては4時間も開くことがあり、利用の低さを実感させられます。

ただ仙山線と違うところは他の盲腸線ではない狭軌の路線としっかり接続しているという事。新庄で陸羽東西線双方に接続しているためもしもの時は迂回ルートとして効果を発揮します。しかし何も電化のまま維持する必要はないと思います。やはりハイブリッド車両の導入で済ませて現行ダイヤを維持、というのが現実的でしょうか。

これは上記の二つの路線にも言えることですが、交流電車はとにかく製造費が直流の場合より高くつくため、東日本を含む全てのJRはなるべくなら製造したくありません。しかも東日本は今回の合理化発表で現行車両に更なる延命工事を施すと発表したのでますます新車は出づらくなるでしょう。できることなら交流電車の運用範囲を少しでも減らすことが出来れば、その減った分だけ交流電車を長く運用することが出来るのでJRにとってはコスト削減になり好都合です。その為これらの交流電化区間の合理化は上記二つのエリアよりも早い段階で実施される可能性があります。

東日本だから大丈夫、はもう通用しない

日本全国の鉄道会社に多大なる悪影響を与えた新型コロナウイルス。その影響はついに東日本の経営思想を180度転換させるまでに至りました。これから東日本はポストコロナの時代に向けて徹底した合理化を推し進めて何とか生き残りを図るでしょう。西日本のような極端な合理化にならなさそうなところが唯一の救いですが、状況次第によってはそれよりひどい合理化もあり得るかも…そうならない為にはやはり我々が日ごろからJRを利用することが何よりも肝要です。これらの予想をすべて外させるためにも、できる限りJR東日本を利用しましょう。

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